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 ひたすらに冬眠を目指して、根室沖の海上を北北東に飛んでいたところまではよかった。だが2,3時間も空を飛んでいればさすがに疲れる。だから一度休憩を兼ねて、氷点近い海に着水することに決めたのだが、降り方が分からない。

 飛び方は知っている。決して誰にも教えないが、僕は空を飛ぶことが出来る。

 だが、降り方は分からない。ウデの角度をどう変えてみたって、高度を下げきれない。また、左耳と右足の土踏まず辺りを近接させても、体のバランスが崩れるだけで着陸態勢には入れなかった。この行為になんの意味があるのか伝えられないのが残念だが、土踏まずには空を飛ぶにあたって重要な役割があるのだ。

 とうとう降り方がわからず、僕はそのまま空を漂い続けた。もう体は疲れ切っているので行く先は風任せだ。天候はいつも僕に味方しない。僕は空を漂い続けた末に、未確認飛行物体として、秘密裏に処理された。

 どこか寒くて、暗い場所に僕は押し込まれた。風の音だけが聞こえる。少し長く眠ることになりそうだ。この場所には何もない。余計なものは何一つない。明日になったら、きっと世界は静止してくれることだろう。

 

2017.02.09 16:16